サステナビリティへのアプローチ
ファナックはFA、ロボット、ロボマシンの3事業を展開しています。設立以来、いたずらに規模の拡大を求めることなく、これらの事業のみに集中することで強靭な企業体制を築き上げてきました。
そしてどの事業においても、不断の技術革新により、お客様はもちろん、社会にとっても不可欠な価値の提供に努め、事業姿勢を通じて社会的な責任を果たすことで、ステークホルダーの皆様から信頼される企業であり続けたいと考えています。
今後も工場の自動化ニーズは高まってゆくと考えられます。ファナックは引き続き、新たな価値を創造しつつ、気候変動を筆頭とする環境問題や働く場の環境改善などの社会的課題の解決に取り組み、SDGsの達成を目指していきます。
SDGsへの貢献メニュー
サステナビリティの2つの観点
ファナックが考えるサステナビリティの2つの観点として、「省エネ・カーボンニュートラル」と「SDGs」があります。
温室効果ガスの排出量削減、消費電力削減、油圧から電動化によるグリーンエネルギー活用等の取り組みを行っています。
17の目標のうち、特に労働環境改善、生産性向上、廃棄物削減等、8つの課題解決に貢献します。
商品(FA)における取り組み(お客様への貢献)
FA事業では、工作機械や産業機械等に組み込まれて使用されるCNCやサーボモータ、サーボアンプを提供しており、次の3つの要素を掲げて、消費エネルギー削減に取り組んでいます。
- 加工に依存する消費電力削減(CNCシステムの消費電力削減、加工時間の短縮等)
- 機械全体の消費電力削減(稼働時間削減等)
- 工場全体の消費電力削減(工場全体の最適化)
また、近年、労働力不足への対策、世代交代にともなう技術継承の重要性とデジタルネイティブ世代への対応など、工作機械を取り巻く環境は大きく変化しています。
新商品FS500i-AシリーズCNC、αi-Dシリーズサーボモータ、αi-Dシリーズサーボアンプでは、機械設計から、実稼働中の加工技術、メンテナンスといった製品ライフサイクル全体で使いやすさの向上や自動化を推進し、労働環境の改善と生産性の向上に貢献します。さらに、最新の技術の適用によりさらなる加工性能の向上と省エネルギー化を達成しています。
加工に依存する消費電力削減
- CNCシステムの消費電力削減
- 低消費電力CNCの開発
- 最適化設計により省エネルギー化を図ったモータ
- 高速電流制御によるモータの損失低減
- 低損失パワー素子適用によるアンプの損失低減(過去から継続的に損失低減を実現しており、現在、1995年比で最大35%低減)
- 電源回生で減速エネルギーを電源に返し有効利用(当社例では抵抗回生方式より35%の削減効果)
- サイクルタイム短縮の制御技術により、補機などの稼働時間を短縮
- 加工経路の最適化によるドリル・タップ加工の高速化
- 切削負荷を最適化する速度制御によるサイクルタイム短縮
- 往復動作による旋削加工など最新の加工工具、加工技術への対応
- シーケンス制御の高速化による周辺機器動作などの効率向上
ドリル・タップ加工の高速化 - モータの加速性能の向上によるサイクルタイム短縮
- 機械学習を使ったAI熱変位補正で機械電源オン直後から熱変位を補正。暖機時間を短縮して消費電力を削減。(以下の例では暖機時間を1/6に短縮)
暖気運転時間短縮
機械全体の消費電力削減
- 消費電力モニタ上に、供給電力と電源回生で回収される電力をリアルタイムで表示
- 加工時間優先の運転設定と、消費電力優先の運転設定を選択できる省エネルギーレベル選択機能を提供し、CNC画面上で消費電力量と加工時間を確認してレベル設定が可能
- 加工シミュレーションを活用して試加工を削減し、試加工時の消費電力を削減
工場全体の消費電力削減
- 工場内データ収集管理システムFIELD system Basic Packageにより、稼働状況・電力消費量を見える化し、工場全体の動作最適化とエネルギー削減を支援
商品(ロボット)における取り組み(お客様への貢献)
- 環境に配慮した商品開発を行っています。CRXの開発では、10kg可搬クラスの従来機の質量が150kgであるのに対し、40kgと大幅に軽量化しました。これにより、消費電力が100~300Wに削減されました。また、同可搬クラスのLR-10iA/10の開発でも46kgに軽量化し、消費電力が140-400Wに削減されました。
- 軽量化に加え、様々な取り組みを行っています。
- 省エネ機能による消費電力の削減、見える化
- オフラインシミュレーションソフトROBOGUIDEによる消費電力の最適化
- 切軽量化により輸送時のCO₂排出量を削減
- ロボットの夜間稼働によりピーク電力を分散
- 再生可能エネルギーの比率向上に貢献
CRX-10iA
LR-10iA/10
商品(ロボマシン)における取り組み(お客様への貢献)
ロボドリルにおける取り組み
- 生産性の向上
- 高い加工性能…スムーズで無駄のない動作を実現する独自の固定サイクルにより、サイクルタイムを短縮します。
- 高い稼働率…FIELD system Basic Packageで稼働情報を収集・可視化し、稼働率と作業効率の改善に貢献します。
- 使いやすさ…専用Gコードの活用によりプログラム作成時間を大幅に短縮できます。
- 消費電力の削減
- 電源回生…モータの回生エネルギーを電源に還元して再利用します。
- 省エネルギー制御…機械本体や周辺機器の待機中の消費電力を最小限に抑えます。
- 消費電力モニタ…消費電力の見える化により、省エネ活動をサポートします。FIELD system Basic Packageで集中監視することも可能です。
- 廃棄物の削減
- リチャージャブルバッテリユニット…バックアップ用電池の廃棄を削減し、メンテナンスフリーを実現します。
- 主軸の長寿命化…主軸後側にもエアパージを追加することで耐環境性能が向上しました。
- 各軸カバーの長寿命化…パンタグラフ機構の適用やクッションゴム・ワイパーの強化により、耐久性が向上しました。
ロボショットにおける取り組み
- 生産性の向上
- 高い成形性能…同時動作により、サイクルタイムを短縮します。
- 高い稼働率…ROBOSHOT-LINKi2で稼働率を分析し、稼働率向上の検討に活用できます。
- 使いやすさ…大画面表示装置による優れた操作性を実現しました。
- 消費電力の削減
- 電源回生…モータの回生エネルギーを電源に還元して再利用します。
- バレル用保温ジャケット…ヒータからの放熱を抑制し、消費電力を削減します。
- 消費電力モニタ…消費電力の見える化により、省エネルギー化をサポートします。
- 可塑化エネルギーモニタ…可塑化(樹脂の溶融)で消費されるエネルギーの見える化により、省エネルギー化をサポートします。
- 環境にやさしい樹脂への対応
- リサイクル樹脂…可塑化スクリュの深溝化と精密計量制御により、リサイクル樹脂(粉砕材)の計量安定化を実現しました。
- バイオマス樹脂…バイオマス由来樹脂の成形により、カーボンニュートラルに貢献します。
- 適量供給装置…粒度のばらつきが大きいリサイクル樹脂の計量を安定化し、不良率の低減に寄与します。
ロボカットにおける取り組み
- 生産性の向上
- 高い加工性能…高速加工条件により加工速度が向上します。また、ノズル開放加工の高精度化は、段取り時間の短縮および加工物の後工程の削減や時間短縮が可能となり、生産性が向上します。
- 高い稼働率…自動結線機能AWF3による高い結線率により、稼働率が向上します。
- 使いやすさ…ガイダンス機能で操作ミスを防止し、無駄のない作業を支援します。
- 消費電力の削減
- 放電電力回生…放電パルスを生成する際に給電ケーブルに蓄積されるエネルギーを放電装置の直流電源に回生して再利用します。
- スリープモード…待機中の消費電力を最小限に抑えることで無駄な電力消費を抑えます。
- 消費電力モニタ…消費電力の見える化により、省エネ活動をサポートします。ROBOCUT-LINKiにより複数のロボカットの消費電力を一括してリモート監視することも可能です。
- 消耗品の長寿命化
- フィルタの長寿命化…流量制御によりフィルタ寿命を延ばしました。
- 電極ピンの長寿命化…ワイヤと電極ピンの接触圧を高め、放電による摩耗を抑制し、電極ピンの寿命を延ばしました。
- ROBOCUT-LINKi…消耗品使用量をリモート監視できます。
修理工場における取り組み(お客様への貢献)
ファナックの修理工場では生産を終了した旧機種の部品修理と再利用を行っています。限りある部品を有効活用するとともに、お客様への長期に渡る保守サービスを実現しています。