ファストサイクルタイムテクノロジー
2018年4月16日
概要
加工現場では、生産性を向上させるために、サイクルタイムを短縮する取り組みを行っています。このサイクルタイム短縮の取組みを支援するため、ファナックは、サイクルタイム短縮を実現するCNCおよびサーボ制御技術の機能群を「ファストサイクルタイムテクノロジー」として提供いたします。
詳細
加工プログラムをCNCが解析してから機械が動作するまでに「プログラムの解析・補間」「加減速処理」「サーボ・スピンドル処理」「シーケンス処理」が進行していきますが、各構成要素はサイクルタイムに大きく影響します。これらの処理を最適化してサイクルタイム短縮に寄与するのが、ファストサイクルタイムテクノロジーです。
ファストサイクルタイムテクノロジーは6つの機能群によりサイクルタイム短縮を実現します。
(1) 設定・調整支援
ファストサイクルタイム設定機能
サイクルタイム短縮に寄与する機能の進化は著しく、それゆえに最新の機能を積極的に組み合わせていくことが、最も重要なプロセスになります。本機能は、旧来の設定から脱し、最新の最適設定を支援するもので、ファストサイクルタイムテクノロジーの中核機能といえます。
サイクルタイム短縮に効果のある機能を1つの画面に集約し、ファナックが用意した推奨値と従来のパラメータをCNCが比較、サイクルタイム短縮効果の大きい設定を自動で選択します。選択した設定値はそのままパラメータに反映されるので、設定・調整作業を簡単に進めることができるのです。
サーボビューア
機械の軸動作とNCの内部処理状況を同期させて波形で表示し、機械動作の見える化を行います。例えば、加工中の不要な待ち時間を発見したり、効率の悪い加工を見極めたり、用途は多岐にわたります。特別なセンサを必要とせず、標準のCNC装置で動作する他、PCを併用することで、より高度なデータ分析・活用も可能となります。
(2) 滑らかな加減速・位置決め高速化
スマート送り軸加減速
加工ワークのイナーシャに応じた最適な加減速制御をCNCが自動調整し、サイクルタイム短縮とサーボ制御の安定性を実現します。大型ワークであっても小型ワークであっても、最適な送り加減速が実現されます。
フィードフォワード+ベル型加減速
フィードフォワード技術の進歩は、きわめて俊敏なモータの加減速制御を可能としました。最新のフィードフォワード技術とベル型加減速を最適に組み合わせることで、なめらかで俊敏な加減速を実現します。
(3) 指令経路の最適化
固定サイクル高速化
CNCが持つ多くの固定サイクルを見直しています。今回、旋削用固定サイクルの荒削りサイクル(G71/G72指令)について、加工経路や加工ブロック間の処理時間を大幅に高速化しました。順次、他の固定サイクルについても高速化を実施予定です。
(4) 主軸能力最大活用
スマートリジッドタップ
スマートリジッドタップは、主軸モータ最大出力で加減速する最速リジッドタップです。タップの加工速度に依らず、引き抜きを最大速度・最大加減速で行うことが可能で、タッピング加工の送りと引き抜きをそれぞれ独立に制御することで、サイクルタイム短縮を実現します。
(5) シーケンス処理時間短縮
CNCと工作機械との情報のやり取りを高速化することで、サイクルタイムを短縮します。
(6) 新しい加工技術への対応
特殊工具の活用は、生産性を上げる一つの手段です。今回、特殊なパンチタップ工具を使用したタッピングサイクルに対応しました。一般に特殊工具は高価ですが、生産性との兼ね合いで最適なケースも少なくなく、従来のリジッドタップ(標準工具を用いたタッピング)に比べて大幅なサイクルタイム短縮が可能です。
対応機種: Series 0i-MODEL F、Series 30i/31i/32i-MODEL B
出荷開始予定時期:2018年7月
(2018年4月新聞発表)