FA新商品:FANUC Series 500i–A
近年、製造業における労働力不足、熟練技術者の世代交代、産業構造の変化に伴う工作機械や加工技術の変化、エネルギーコスト削減への強い要求など工作機械をとりまく環境が今まで以上に大きく変化しようとしています。
FANUC Series 500i-Aは、これらの環境変化に対処すべく、プラットフォームを一新して開発した最新のCNCです。労働力不足、熟練技術者の世代交代を考慮し、工作機械に求められる機能の実装や、新しい統合的な開発環境による独自操作画面などの設計が、極めて容易に、かつ自然な形で実現できるようにしました。そして、CNC技術とデジタル技術を融合させ、デジタル空間上の工作機械(デジタルマシン)を含めたプラットフォームへと拡張し、さらに、ネットワーク化された工作機械群(エッジ)、およびクラウドを含めた工場全体の仕組みと連携することで、様々な課題を解決します。
また、αi-Dサーボとの連携により、工作機械におけるサーボ制御の高速・高精度化やエネルギーコスト削減を加速します。
新しいハードウェア
制御用エンジンはCNCソフトウェアの完全並列処理化により従来比2.7倍の処理性能を実現しています。制御用エンジンとUI用エンジンのデュアルエンジンアーキテクチャを初めて採用し、ファナックCNCの特長である制御に特化した制御用エンジンのパフォーマンスを最大限に発揮できる構成となりました。制御部は構造を一新して、小型化と更なる保守性の向上を実現しました。また、最新のバッテリーレスメモリを採用し、万一のCNCデータ消失のリスクを大きく低減します。バッテリーレスパルスコーダと組み合わせて、バッテリーレスCNCシステムを構成することができます。当社が磨き続けてきた信頼性もさらに向上しています。
先進の5軸加工機能
同時5軸制御技術は、インペラやブレードなど複雑な形状の加工のみならず、段取り換え無しの多面加工や高能率な工具側面加工など、工程集約・生産性向上を実現する技術として、今後ますます重要になります。FANUC Series 500i-Aでは、5軸加工機をより使いやすくするために5軸制御用ソフトウェアを一新しました。プログラム指令の自由度向上や手動運転による段取りを使いやすくするとともに、多様な機械構成への対応も簡単に実現できます。
CNC操作画面の刷新
加工現場の作業性を追求した新しい操作画面を標準搭載しています。段取り・加工で使用する画面を統合して、作業性を大幅に向上、タッチ操作による直感的な操作性により操作画面の表示手順および操作方法を改善し使いやすさを向上させています。
開発環境の一新
機械ごとに求められる機能や画面を開発する環境を一新しました。 FANUC PICTURE2は分かりやすいUIと豊富な画面部品でCNC操作画面と親和性の高い画面アプリケーションの開発を容易にします。FANUC PMC Programmerは使いやすいST言語で機械のロジック設計を効率化します。更にCNC Design Studioによる各アプリケーションおよびシミュレーションソフト(CNCガイド2)との連携/統合により、電装設計を総合的に支援します。
セキュリティと安全性
工作機械をネットワークで接続し、工場全体を最適化して生産性を高める考え方は、デジタル技術やIoT技術と合わせて、急速に浸透してきており、情報漏洩や不正アクセスへのセキュリティ対策は、きわめて重要です。そのため、イーサネット通信での暗号化通信、ユーザ認証、データアクセス保護を実装しています。
また、より高度な機械の安全性実現のため、国際安全規格IEC61508/ ISO13849-1の安全カテゴリ4、SIL3、PLeを取得しています。
(2024年1月)