取り組み
商品における取り組み(省エネルギー化)
ファナックは、商品を通じた省エネルギー化を推進しています。推進のための取り組みは大きく2つあり、1つは「商品そのものの省エネルギー化による、お客様の工場で稼働する際に必要となるエネルギー節約」です。もう1つは「商品の生産に必要なエネルギーの節約」です。ファナック商品のライフサイクルを考えれば、前者の方が圧倒的にエネルギー節約の効果が高くなるため、長期にわたり商品の省エネルギー化に取り組んできました。
大容量サーボモータの開発 | デジタル制御を駆使した高精度・高効率の大容量サーボモータを、他社に先駆けて開発しています。 大きなパワーを必要とする射出成形機などの産業機械分野では、この大容量サーボモータを油圧に代わる駆動源とすることで省エネルギー化を実現しています。 |
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電源回生方式の採用 | サーボアンプでは、モータ減速時のエネルギーを電源に戻す電源回生方式を採用し、電源の有効活用による省エネルギー化を実現します。ロボドリルの場合、抵抗回生方式と比較し、約35%の電力削減を実現しています。 さらに新しいパワー素子の採用により、サーボアンプのエネルギー損失を継続的に低減しています。現在、1995年比で最大35%低減できています。 |
最新のサーボシステムの提供 | 新たに開発したαi-Dシリーズサーボシステムでは、モータ、ACリアクトルの銅損、鉄損を抑えると共に、上記アンプを採用することで、サーボシステム全体の損失を、従来商品に比べて10%低減しました。 |
消費電力モニタ機能 | 消費電力モニタ機能により、CNCシステムが消費している電力量のモニタが可能となり、機械の稼働時間の調整を効率的に行うことができます。また、CO2排出量の表示も可能です。 省エネルギーレベル選択機能を用いることで、加工時間優先の運転と消費電力優先の運転を選択できるようになります。 生産ラインにおいて各部品の生産時間に差があるときなど、速く加工する必要がない場合には、消費電力優先の運転を行うことにより、工場全体での省エネルギー化にも貢献します。 また、ロボットでも消費電力モニタにより、教示操作盤上に消費電量をリアルタイムに表示することができます。 |
ファストサイクルタイムテクノロジー | 加工時間を短縮するための機能群です。機械の稼働時間を減少させることで、クーラントポンプなどの周辺機器の消費エネルギー等の削減に寄与しています。 |
電力需要の負荷平準化 | ロボットによる夜間稼働により、ピーク電力が分散され、消費電力を抑制できます。 |
軽量化によるCO2排出量削減 | ロボットの機構部の軽量化設計により、消費電力を低減しています。可搬質量が165kgのロボットの場合、1997年の Robot S-430iW は1,300kgでしたが、2013年の Robot R-2000iC/165F では1,190kgまで軽量化を実現しています。また、協働ロボットCRXでは、可搬質量10kgに対してロボット質量40kgと、これまでの同等クラスのロボット質量150kgよりも大幅に軽量化し、消費電力を低減しています。 さらに、フルカバーハンドリングロボットLR-10iA/10でも、同じ10kgの可搬質量の従来ロボットに比べて本体質量を1/3以上軽量化し、消費電力を3~4割低減しています。 |
最適動作プログラム | ROBOGUIDEを使用して動作プログラムを最適化することにより、消費電力が抑制され、減速機寿命の延命にもなることからランニングコストを低減できます。 |
効率的なロボット活用 | 協働ロボットを搭載した無人搬送車 (AGV) を自律移動させることで、1台のロボットが複数箇所で作業可能となり、ロボットの稼働率が向上します。その結果、 複数のロボットを設置するよりも待機電力が削減されます。 また、 最新の協働ロボットCRXは、ロボット質量も40kgと非常に軽量で、AGVも小型化できます。さらに、AGVの代わりの人手台車でも移動可能で、ロボットを必要な時に必要な場所に移動して使うことも可能です。 |
教示操作盤のバックライト自動消灯 | ロボットの教示操作盤で、一定時間操作をしない場合に液晶画面のバックライトを自動消灯させることで、消費電力を削減します。 |
省エネを考慮した設計 | シリアルリンク機構で、コンパクトかつ広い動作範囲の新しいタイプの重可搬ロボットM-1000iAを開発しました。最新の構造解析を用いて、曲面を多用しながら、必要な強度・剛性を持たせつつ、軽量化設計されたアームやロボットの減速エネルギーを再利用する電源回生などにより省エネを実現しました。 また、環境に配慮した省エネ設計の新ロボット制御装置R-50iAを開発し、低消費電力ファン、低損失パワー素子搭載アンプ、高効率なブレーキ制御で、消費電力を削減しました。 |
高信頼性自動結線機能 (AWF3) | ロボカットにおいて、不慮のワイヤ断線時でも、自動的に結線復旧できる高信頼性自動結線機能AWF3により、長時間の無人運転が可能となります。夜間の安定した機械稼動は、ピーク電力を分散させ、消費電力を抑制できます。 |
放電制御iPulse3 | ロボカットでは新開発の放電制御iPulse3により、加工時間が短縮され、消費電力の抑制を実現しています。また、ポンプ・クーラのインバータ制御、放電回路の電力回生、各種機器の待機電力削減により、消費電力を抑制しています。 |
周辺機器の電動化 | ロボショットの付加軸追加オプションにより、従来油圧装置で駆動されていた周辺機器を電動化し、省エネルギーを実現します。 |
保温ジャケット | ロボショットの射出シリンダにおいて、ヒータ周囲に保温ジャケットを装着することにより保温効果を向上させ、消費電力を削減します。 |
可塑化エネルギーモニタ | 可塑化(樹脂の溶融)で消費されるエネルギーの内訳と放熱によるエネルギー損失の見える化により、消費エネルギーを抑えた最適な成形条件調整をサポートします。 |
省エネルギー機能 | ロボドリルのスリープ機能は、機械の待機中にサーボモータの励磁をOFFしたり、クーラントや潤滑用ポンプを停止することで消費電力を削減します。さらに周辺機器省エネ制御機能やミストコレクタ制御機能により、ユーザ手配の周辺機器にも同様の制御を簡単に拡張でき、システム全体の省エネルギー化が可能です。 |
省エネルギーに関する受賞・トピック
令和6年度脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業の補助対象設備に認定(2024)
ロボドリルα-DiB Plus, α-DiBADV Plusシリーズ
ロボショットα-SiA, α-SiBシリーズ
ロボカットα-C800iB, α-CiCシリーズ
令和5年度省エネルギー投資促進支援事業費補助金の補助対象設備に認定(2023)
ロボドリルα-DiB Plus, α-DiBADV Plusシリーズ
ロボショットα-SiA, α-SiBシリーズ
ロボカットα-C800iB, α-CiCシリーズ
令和5年度脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業の補助対象設備に認定(2023)
ロボドリルα-DiB Plus, α-DiBADV Plusシリーズ
ロボショットα-SiA, α-SiBシリーズ
ロボカットα-C800iB, α-CiCシリーズ
令和4年度先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金の補助対象設備に認定(2022)
ロボドリルα-DiB Plus, α-DiBADV Plusシリーズ
ロボショットα-SiA, α-SiBシリーズ
令和4年度脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業の補助対象設備に認定(2022)
ロボショットα-SiA, α-SiBシリーズ
令和3年度先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金の補助対象設備に認定(2021)
ロボドリルα-DiB Plus, α-DiBADV Plusシリーズ
ロボショットα-SiA, Bシリーズ
生産設備におけるエネルギー使用合理化等事業者支援事業費補助金の補助対象設備に認定(2020)
ロボドリルα-DiB, α-DiBADVシリーズ
ロボショットα-SiAシリーズ
地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金の対象認定(2014)
ROBOCUT α-CiAシリーズ
一般社団法人日本機械工業連合会 優秀省エネルギー機器表彰制度 資源エネルギー庁長官賞(2003)
電源回生機能と精密デジタル制御の大容量サーボシステム大型ACサーボモータ αiシリーズ
一般社団法人日本機械工業連合会 優秀省エネルギー機器表彰制度 通商産業大臣賞(1999)
位相制御電源回生方式とサイクルタイム短縮によるディジタルサーボシステム ACサーボモータαシリーズ
一般社団法人日本機械工業連合会 優秀省エネルギー機器表彰制度 通商産業大臣賞(1998)
高速自動結線および板厚追従制御付きワイヤカット放電加工機 ROBOCUT αシリーズ
一般社団法人日本機械工業連合会 優秀省エネルギー機器表彰制度 通商産業大臣賞(1995)
ROBOSHOTシリーズ
生産における取り組み
商品の生産に必要なエネルギーの節約に貢献します。
組立工程の効率化 | 隼人工場(鹿児島県)では、フレキケーブルの組立工程において、超音波洗浄装置による洗浄を行っていましたが、洗浄の必要性を再検討することで工程を削除し、年間電力量を158,976kWh削減しました。 |
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ワイヤ放電加工機(小型・中型)にて、試作・デザインレビューを繰り返しながら部品の共有化およびハーネスのユニット化等の大幅な設計変更を行い、組立工数削減で大きな成果を上げています。 | |
コジェネレーションシステムの導入 | 壬生工場(栃木県)、筑波工場(茨城県)では、コジェネレーションシステムを導入し、廃熱を積極的に利用し、電力購入量の削減およびガス炊き冷温水発生機の燃料削減を行い、CO2排出量削減を実現しています。 2022年度のコジェネレーションシステムによる推定年間CO2削減量は壬生工場(栃木県)で1,480tCO2e、筑波工場(茨城県)で863tCO2eです。 |
都市ガス転換による環境配慮 | 本社地区のボイラの燃料を灯油・LPGから都市ガスに切り替えることで、CO2の削減とBCPの促進を継続して図っています。同時に転換のタイミングで灯油タンクを廃止して土壌汚染リスクの低減を進めてきました。2022年4月を最後に工場の都市ガス化が完了しました。また、本社地区ではターボ冷凍機、空冷チラーを都市ガスによる冷温水発生機に更新しました。筑波工場では灯油から都市ガスに燃料を使用する冷温水発生機に更新しました。 |
圧縮空気の配管漏れ防止 | 圧縮空気の配管漏れを防止することでコンプレッサの負荷を低減し、電力の無駄を削減しています。 |
圧縮空気の圧力低減 | 省電力として、加工機待機時の非常停止モード化及びエアコンプレッサー圧力の低減化(0.62⇒0.6Mpa)を推進しています。 |
圧縮空気の休日運転停止 | エアコンプレッサーの休日運転停止による省エネで、2354kWh/年、約4万円の削減となります。 |
コンプレッサの台数削減 | ロボカット製造部では、既存棟と増築棟のそれぞれにコンプレッサを設置し稼働させていましたが、エア配管接続工事を行うこととしました。これにより、増築棟のコンプレッサ2台で交互運転を行い、既存棟のコンプレッサ2台を休止し、電力消費量を削減しました。 |
仕損費の削減 | 仕損費の高い部品について優先して仕損費削減活動を推進した結果、月当たりの仕損費を低減し、経営効率の改善に大きく貢献しました。 |
加工済み品の「錆」ゼロ化 | 切削材の検討および防錆剤の活用等で加工済み品の「錆」ゼロ化を2021年度に達成しました。 |
職場の照明電力削減 | 職場の照明電力削減施策として、塗装用ロボットサイトの照明を常時「切」にし、使用時のみつけることとしました。また、職場のユーティリティ(トイレ、コンプレッサ室、ボイラ室)の照明について、人感センサ対応の照明への切り替えを実施しました。 隼人第1工場の作業場の照明を全てLED化し、省エネルギーを推進しています。 |
アルミ溶解保持炉の電力削減 | 本社成形工場、壬生成形工場では、ダイカスト設備で使用しているアルミ溶解保持炉に断熱ジャケットを取り付け、放熱を抑えることにより消費電力の削減を図っています。また輻射熱を発しないため、作業員の熱中症対策、火傷防止、空調負荷の低減に貢献しています。 |
部品自動倉庫の待機電力削減 | 部品自動倉庫の待機電力削減のため、倉庫未稼働時のクレーンサーボOFFを実施し2023年3月より約600kWh/月の電力を削減しています。 |
待機電力の削減 | 板金製造部では、生産を1週間単位の中で集中的に行う運用形態を採用することで、待機中の電源を完全停止し、待機電力を削減しています。 |
休日運転の休止 | サーボモータ製造部では、長年にわたり、品質確保のため休日もボイラー等の設備を稼働させる運用をしてきましたが、品質管理面で問題ない事を検証し、休日の設備運転を休止する運用に見直しました。 |
スペース効率化 | 広い作業面積を必要とするロボット組立や試験工程の増産時の対応として、コンパクト化によるスペース効率化を推進しています。 |
温度試験機の省エネルギー化 | ロボットコントローラ製造部では、小型のコントローラの温度試験をプリント基板単位で行うことで、小型試験機による試験が可能となりました。大型試験機が不要となり、省エネを実現しました。 |
常夜灯の省エネルギー化 | ロボドリル製造部では、常夜灯の点灯を最適化して工場電力を削減しました。 |
物流における取り組み
商品の輸送に必要なエネルギーの節約に貢献します。
トラック帰り便の活用 | 日本国内の工作機械メーカにCNCシステムを納品したトラックは、帰りが空荷になります。このトラックを、サプライヤに紹介し部品納入に活用してもらうことを推進しており、これによってトラックの運行を効率化(台数を削減)し、CO2削減に取り組んでいます。 |
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自社工場でのコンテナ詰め | 輸出用CNCシステムは、従来、ファナックから港湾倉庫へトラック輸送した後、港湾でコンテナ詰めしていましたが、これをファナックの工場に海上コンテナの荷役ができる設備を設けてファナック工場でコンテナ詰めを行い、コンテナを港湾に直送することで、コンテナ積載率の向上とトラックから積載量の大きいトレーラへの代替によるトラック台数の削減を実現しています。 |
構内物流の効率化 | 本社地区では、多くの工場建屋間の構内物流が多く、村道も多くのトラックが往来し混雑していました。構内道路を整備することで、村道の使用を抑え、動線を 確保し、物流を円滑化しました。壬生工場では全工場間をコンベアで連結し、トラックによる構内運搬をゼロにしています。筑波工場は建物の規模を大型化してロボットの全ての生産工程を同一建屋内でコンベアでつなげることにより、構内運搬にトラックを使用することをなくしています。 |
非生産事業所における取り組み
太陽光発電設備の導入 | 本社地区の一部建屋において太陽光発電設備を導入しました。2022年度は太陽光発電により37,600kWhを発電しました。また本社地区に1,750kW、壬生工場に2,814kW、三河サービスセンタに30kW、小倉サービスセンタに20kWの太陽光発電設備を設置しました。その他本社地区においては2,400kWの太陽光発電設備設置工事が進捗中です。 |
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照明のLED化 | 工場および事業所で使用されている水銀灯と汎用蛍光灯のLED化を図り、天井照明、誘導灯、非常照明等をLED照明に切り替えました。LED化に加え、廊下やトイレなど、人が常にいる場所ではないエリアには人感センサを設置し、不要な点灯を防止するようにしました。 壬生工場の事務所では室内を38区画に分割し人感センサおよび照度センサを使用することで不要な点灯を防止しています。 筑波工場の外灯をLEDに切り替えました。 筑波工場ではLED照明への更新を工場2棟に追加しました。 |
コジェネレーションシステム | 本社地区でもコジェネレーションシステムを導入し、廃熱を社宅・寮の厚生施設やファナックアカデミの給湯・暖房に使用しています。2022年度のコジェネレーションシステムによる推定年間CO2削減量は1,426tCO2eとなりました。 |
建屋のリニューアル | 大阪支店において、骨組みを残した建屋の全面リニューアルを実施し、省エネエアコン、照明のLED化、人感センサ等の導入により、空調電力60%削減、総電力40%削減を達成しました。 |
デマンドレスポンス | 電力供給会社からの要請に応じ、電力の受給需給ひっ迫が予想される時に電力消費を抑制するネガワット取引を行っています。 |
ITインフラ | 休み時間のパソコンモニタの電源をオフにすることで、推定年間電力削減量は28,800kWhとなる見込みです。 |
建屋の断熱効果向上 | 冷暖房に要するエネルギー使用量を節減するため、外断熱・内断熱や外壁の2重(ダブルスキン)化の施工、結露対策、複層ガラスの採用など断熱効果を高める様々な工夫を取り入れています。ダブルスキン外壁は、日野支社パーツセンタ棟、名古屋サービスセンタに採用されています。 2017年以降の新築社宅では、外断熱・複層ガラスを積極的に採用しCASBEEでB+~A(自己評価)を目指した施設整備に努めています。 |
サーボαi-Dの省エネ化 | 低損失パワー素子等の採用による省エネに注力し、従来比10%削減したサーボαi-Dを開発しました。 |
ロボドリルの省エネ化 | ロボドリルでは、スリープ機能を付加した電力削減型製品を開発しています。 |
ロボショットの省エネ化 | ロボショットでは、射出成型機シリンダーに保温カバーを取り付け、省電力を推進しています。 |
製造部品のサイクルタイムを短縮 | 製造部品のサイクルタイムを短縮するソフトウエア機能開発を継続しています。 |
サービス効率の向上 | エンドユーザの機械に二次元コードを貼り付け、サービスコール・メールを迅速化し、写真・動画を活用してサービスに要する時間を短縮しています。 |
環境貢献機能を備えた新商品の拡販 | 環境貢献機能を備えた新商品を拡販し、新CNCへの切り替えを推進しています。 |