安全・品質
商品の安全・品質に対する推進体制
ファナックは、商品の開発・設計に始まり、商品品質の作り込みから製造・出荷後のアフターサービスに至るまで、全プロセスにおいて品質改善活動を推進し、商品の安全性・品質・信頼性の向上に取り組んでいます。
商品の安全性を確保するため、設計時にリスクアセスメントとして、危険源の特定、リスクの評価、リスクの低減、効果の確認を行っています。また、不具合発生時にもリスクアセスメントを行い、危害の大きさと発生頻度を基に、リスクの大きさを評価し、適切な対処方法を決定しています。商品の品質・信頼性は、開発段階で作りこむ考えから、レビューや信頼性評価をはじめとした検証・妥当性確認を開発プロセスに組み込んでいます。また、問題の迅速な解決・再発防止を実現するため、研究開発本部が高信頼性の実現に責任を持つ体制としています。
これらの活動が、当社の全ての商品で効果的に運用されるよう、全ての商品への横断的な展開と推進を担う、研究開発推進・支援本部を置いています。また、研究開発本部ごとに、各商品の信頼性開発を専門に担う部門を置いています。また、各部門内だけでなく、部門を横断する様々な定例会を通じて、品質・信頼性、技術、セキュリティなどの情報を共有し、品質・信頼性の向上に取り組んでいます。
ファナックは、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを確立し、商品の安全性や品質の確保に努めています。法令・規格の要求事項のほか、個々のお客様からの要求事項を満たすため、設計審査・検証による確認を行っています。また、商品のリスクアセスメントも実施しています。
ファナックでは、商品の品質改善・向上を目指し、以下のような活動を継続しています。
- 技術会議(研究開発本部幹部を対象に開催)
- 信頼性推進会議(研究開発本部を対象に開催)
- 信頼性会議(各研究開発本部で開催)
- 品質会議(製造部門と研究開発本部で製造品質の改善のために開催)
- 信頼性勉強会(研究開発担当者を対象に開催)
ISO9001
ファナックはISO9001に基づく品質マネジメントシステムを確立し、顧客満足、法令遵守、商品の安全性や品質の確保などの実現に努めています。また、品質マネジメントシステムの活動結果の確認および評価を実施し、ISO9001への適合性や有効性の確認、改善を行うための内部品質監査を計画し、実行しています。
国内 | 100% |
海外 | 100% |
内部品質監査については、その独立性・公平性が重要です。この点を強化するため、代表取締役社長 兼 CEO直属の内部品質監査委員会を設置しています。内部品質監査委員会は、法令や契約に対する遵守状況、品質不正および品質不正につながる課題の抽出と改善案の検討、内部品質監査の有効性の評価を行い、その検討結果を代表取締役社長 兼 CEOおよび関連部門に報告します。関連部門では、代表取締役社長 兼 CEOの指示だけでなく、内部品質監査委員会からの情報をもとに、自発的に改善案を検討し、ルールの見直しなどを進めています。
品質・信頼性の「見える化」
商品の設計から製造過程、アフターサービスに至るすべてのプロセスの品質・信頼性状況を把握し、不具合への迅速な対応を図っています。アフターサービスにより収集したデータを分析し、抽出した課題を製造部門や研究開発本部へフィードバックすることで、品質・信頼性向上に効果を上げています。
信頼性開発技術
信頼性の高い商品を設計・製造するための仕組み作りと、研究員の信頼性開発力を高めるための知見の共有を推進しています。研究開発推進・支援本部は各研究開発本部に所属する信頼性開発部門のメンバとともに、信頼性に関する課題の改善方法を定期的に検討し、信頼性開発手法の標準化を進めています。
また、不具合発生時の対応手順をルール化した「不具合対応手順」、商品のセキュリティインシデントや脆弱性に迅速に対応する手順として「インシデント・脆弱性対応ガイドライン」を制定しています。
不具合や脆弱性については、原因究明から対策までを一元管理した管理システムに登録して対応の進捗の「見える化」を行い、対応漏れの防止に役立てています。管理システムの知見や教訓は全社で活用され、品質作り込みや品質改善対策、不具合の未然防止・再発防止、若手技術者への教育などに効果を上げています。さらに、信頼性評価棟には品質不具合品の現物を展示する「不具合に学ぶコーナ」を設け、失敗事例を教材として、研究開発者の教育に活用しています。
信頼性評価技術
ファナックの商品は、製造現場で使用される関係上、非常に厳しい環境に晒されます。そのような環境下でも長期間安定して稼働し、お客様の工場の稼働率向上に貢献できるよう、様々な環境での評価試験を行いながら、評価試験の標準化を推進しています。
また、2016年に開設した信頼性評価棟は延床面積 約22,679m²(幅103m×奥行198mの建物)の広さで、信頼性の徹底検証が可能な多くの設備を有しています。
この施設には、電波暗室、シールドルーム、加振室、ミスト試験室、温度可変室、湿度可変室、限界試験室、騒音測定室、水没試験室、クリーンルーム、精密測定室などの専用試験室があり、加速寿命試験による長期信頼性の確認をはじめ、様々な条件下でのデータのばらつきまで考慮した数々の試験を行っています。
信頼性評価棟
電波暗室
ミスト試験室
お客様の安全性確保
ファナックは、お客様の工場の安全と稼働率の向上に貢献しています。そのためには、操作するオペレータを危険から守るため、商品の安全性を高めることが必要です。
ファナックは、より高いレベルの安全を実現する研究開発に取り組んでおり、FA商品、ロボット商品、ロボマシン商品は各種安全規格に対応しています。
安全規格対応 | ISO/IEC規格をはじめとする各安全規格を満たし、認証機関の認証を受けています。 ロボショットα-SiBシリーズは、新たに制定された射出成形機の安全要求(ISO20430、JIS B 6711)に対応しています。新基準の安全規格に対応して、オペレータや成形工場の安全を確保します。 |
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デュアルチェックセーフティ (DCS) | CNCは安全規格 (IEC61508 SIL 3*, IEC62061 maximum SIL 3*, ISO13849-1 PLe*) に適合し、認証機関により認証を取得しています。(*スピンドルモータを含む場合は、SIL 2, PL d) 安全に関する信号を二重化して監視比較します。安全回路のハードウェアの片方が故障した場合、もう一方が故障を検出し、システムの安全性を保ちます。 |
カスタム安全PMC機能 | ロボドリルでは、上記DCSをお客様やシステムインテグレータが、ロボドリルに追加設置した周辺機器の制御にも適用することが可能です。これにより、別途設置が必要な安全回路や制御機器が不要となります。 |
誤作動防止機能 | オペレータが誤って操作した場合でもアラームにより停止するなど、安全に配慮した設計となっています。将来的には、危険な操作、誤った操作に関連する機能の表示停止や選択防止機能を考慮していきます。 |
射出部のフルカバー構造 | ロボショットでは、加熱ヒータにより高温となる射出部への不用意な接触を回避するため、射出部全体をフルカバーで覆っています。 |
協働ロボット | 人に触れると安全に停止するため安全柵が不要です。人の隣で作業をアシストすることにより、オペレータは重労働を回避でき、力が弱い人でも安全に作業ができます。 |
スムースストップ機能 | ロボットの異常発生時、最短時間で安全が確認されている経路上で停止します。 |
ブレーキ異常診断機能 | ロボット稼働中もしくは静止中にブレーキに何らかの異常を来たした場合、ブレーキ力が低下してロボットの重力軸が落下する可能性があります。このようなブレーキの異常を早期に診断し、お客様に事前通知します。 |
サイバーセキュリティ対応 | 新ロボット制御装置R-50iAを開発し、ロボット制御装置では世界初(当社調べ)のサイバーセキュリティの国際認証(IEC62443-1、IEC62443-2)を取得しています。外部からのサイバー攻撃を遮断し、安心のロボットシステムを構築できます。 |
商品デザイン
「Simple & Smart」のデザインポリシーのもと、HCD (Human Centered Design) に基づき、主観的満足度が高く、過不足のない必要十分な商品デザインを行っています。 ISOやJIS、各国の法令に準拠しつつ、使いやすさや安全性を考慮したデザインを目指しています。また、これらのガイドラインの策定を進めています。新協働ロボットCRXシリーズは、無骨な産業用ロボットのイメージを刷新した凹凸のない丸みを帯びた斬新な形状で、作業者が安心して空間を共有できる優しい外観デザインとしました。