社員の人材育成・教育
基本的な考え方
ファナックの事業活動を支え、社益の実現を図る人材として、社員の成長を支援します。
今後企業としての持続的成長を実現していくためには、社員一人一人が当社の基本理念・組織のビジョンに対する理解を深め、自己の役割を認識した強い個として自律的に行動するとともに、自身のキャリア志向や強みに応じて学び、成長し、相互に関わり合いながらその力を最大限に発揮できる機会を提供することが必要であると考えています。
取り組み
ファナックは、社員一人一人の成長とキャリア形成に対する支援を通した人材価値向上に取り組みます。
現在、そのための研修制度として、管理職を対象に、その職責に応じた職場のマネジメント・リーダシップの向上を図る研修、定期的な双方向の対話(1on1面談)を通じたキャリア形成・成長支援のポイントを伝える研修を実施しています。また、中堅社員を対象にプロフェッショナルとして専門領域を追求する研修、若手社員を対象に大切にする価値観を軸とした成長プランを実行する研修を実施し、自己認識の整理を通して自身のキャリアビジョンを描く考え方を伝えています。
研修の実施と併せて、職場内での対話を通じたキャリア形成・成長の支援の仕組みづくりに取り組んでいます。2023年度より幹部社員を対象とした1on1面談を開始しました。2024年度には一般社員にも対象を拡大していく計画です。
各職場内では、必要とされる固有の知識・スキル習得のための研修を実施しています。サービス統括本部の例を挙げると、国内・海外サービス員の技術教育によりお客様満足度の向上を図っています。
現在の教育研修体系
全社員対象研修
研修名 | 対象者 | 内容 |
---|---|---|
ダイバーシティ研修 | 全社員 | ダイバーシティ推進の意義・重要性の理解を促進し、当事者意識の醸成・浸透を図るとともに、自職場で各個人が意識し、取り組むべきポイントを伝える |
ハラスメント防止研修 | 全社員 | ハラスメントを防止し、働きやすい職場環境をつくるために必要な基礎知識を身につける |
メンタルヘルス研修 (ラインケア・セルフケア) |
全社員 | メンタルヘルスに関する理解の浸透・意識の向上を図るとともに、管理職に求められる職場メンバへのケアに関する理解を深める |
情報セキュリティ教育 | 全社員 | 情報セキュリティインシデントの防止に向け、従業員のセキュリティに対する意識やリテラシーの向上を図る |
コンプライアンス教育 | 全役員、全社員 | 各種方針やガイドラインは全社ポータルサイトに掲載し、各種の教育を通じた意識向上・浸透活動によってコンプライアンス意識の醸成を図っています。 また、ファナックの役員・社員(契約社員、派遣社員を含む)に対し、e-Learningにより以下のコンプライアンス教育を実施しています。
|
マネジメント・リーダシップ向上
研修名 | 対象者 | 内容 |
---|---|---|
本部長研修 | 本部長全員 | 経営リーダ層が考慮すべき経営課題を乗り越えるために求められる力(マネジメント力、成長戦略策定力、人間力)を磨き上げる |
部長研修 | 部長全員 | 全社的視点での自部門の役割認識をもとに職場を導くためのマネジメント、リーダシップのスタイルを構築する |
職場マネジメント研修 | 課長全員 | 組織の管理責任者として組織力を向上させ、課の成果を最大化させるためのマネジメントの基本を学習する |
1on1面談研修 | 管理職全員 | 組織方針の浸透、部下の成長支援を通した組織力の向上、働きがいのある職場づくりに向けた1on1面談のポイントを学習する |
新任幹部社員研修 | 幹部社員昇格者 | 自らの専門領域の深化、もしくはグループとしての取組みの課題解決に向け、周囲を巻き込み成果を出すためのリーダシップを学習する |
キャリア形成
研修名 | 対象者 | 内容 |
---|---|---|
中堅社員研修 | 中堅社員 | 職場の業務遂行の中核を担う「プロフェッショナル」としての意識を養い、第一人者として職場をリードしていくための「自分ならでは」の専門領域を追求する |
若手社員研修 | 若手社員 (入社3年目) |
周囲からの期待、自身の強み、自身の大切にする価値観に関する自己認識を踏まえ、主体的に仕事に向き合う「自律型人材」を育成する |
製造現場管理力向上
研修名 | 対象者 | 内容 |
---|---|---|
チームリーダ研修 | チームリーダ全員 | 製造現場第一線の監督者として職場を管理する事への役割認識と、管理者としての職場運営に必要な知識、実践力を養成する |
技能職若手社員研修 | 技能職若手社員(入社6、7年目) | ものづくりの業務遂行および組織力の維持・向上を担う一員としての意識を養い、周囲への働きかけ、業務の課題解決に向けた行動へつなげる |
新入社員研修
研修名 | 対象者 | 内容 |
---|---|---|
新入社員研修 | 新卒・中途入社者全員 | 当社の事業内容と歴史、経営理念、組織体制、企業文化等、当社社員としての基礎知識を学習する ガバナンスをはじめとする各種方針や人権方針を説明し、遵守を求める |
マナー研修 | 新卒入社者全員 | 社会人としてふさわしい行動とコミュニケーションを通して業務を円滑化し、信頼される企業人となるためのビジネスマナーを習得する |
外国語研修(英語・中国語)
社員一人一人の業務に求められる語学力に応じたスキルの底上げの一助として、TOEIC受験の実施のほか、ビジネス英語、英会話・中国語会話のスキル習得等の研修メニューを拡充しています。
部門別研修
上記研修とは別に、担当業務固有の知識・スキル習得のために各部門内で社外講習会への参加、研修の実施を行っています。
サービス員の育成・教育研修
サービス統括本部では、サービス員の育成・教育研修を行っています。ファナックでは、サービス員のサービスレベル向上を最重要と考えており、サービス員の育成・教育を通じ、高品位なサービスをグローバルに提供できるよう努めています。
また、国内サービスでは全新入社員が行っているマナー研修に加え、サービスエンジニア行動規範に基づいて、身だしなみや言葉遣いなどのマナーにも配慮し、お客様満足度のさらなる向上に取り組んでいます。
また、若手サービス員に多方面からの視点を培わせるために、セールスの販売・技術サポート部門への異動(2年程度の期間指定)を行い、外から自部門を見ることによるキャリアアップ、業務改善につなげる取り組みを一部商品から始めました。
それ以外にも、今までベテランでなければできないと考えていたコールセンタ業務についても、データベースや受付システムの活用により、若手フィールドサービス員からの起用を行い、現在の業務のさらなる効率化などにつなげたいと考えた活動を行っています。
新入社員研修については、2023年は、3年ぶりに対面講習を基本とした研修を行いました。対面講習に加え、全員にタブレットおよびノートパソコンを入社直後から支給し、ファナックアカデミ作成のe-Learningコンテンツ、部署内で作成した資料共有により、新入社員に基礎的な知識を教育しました。
入社以降約4カ月にわたり、技術研修、社会人としての基礎教育、外部講師を招いた安全運転教育を行いました。今後の必要資格として、産業用ロボット取扱、低圧電気、フルハーネス等の特別教育を実施し、安全に業務を遂行できるように、入社時から教育を開始しています。
8月に配属後2か月の配属先でのOJTを経て、10月より技術、知識を定着させる為、2か月の追加教育を行います。
また、社有車運転を日常的に行うために、地域の警察署からの出張講習、損害保険会社からの「事故例から見る安全運転」などの講習を受講し、安全意識の向上を図っています。(国内サービス本部)
基本的に顧客訪問が保守業務のベースであるため、一般的な情報セキュリティ対策講習のみではなく、顧客情報の管理も併せ講習を実施し、情報管理の徹底を図っています。
同様に既にフィールドで活動しているサービス員には、アカデミでの顧客向け講習や、サービス員向け専用講習などを積極的受講しております。また、出来る限り多くの情報を共有するために、技術教育、安全運転教育、安全作業に係わる講習なども、本社、日野支社と全国各地のサービス拠点を接続しオンライン教育を実施しました。
コロナ禍においては、海外のサービス員に対して、ビデオ会議システム、オンデマンドセミナ、ビデオ教材を使った保守技術の教育研修を行うことで、海外のサービスレベルを維持していました。渡航制限が排除された後は、海外のサービス員もファナックアカデミでのトレーニングを再開しました。
ファナックアカデミでの技術教育 | お客様の要望を取り入れたトレーニングプログラムを活用し、ほぼ毎週、国内および海外のサービス員の技術教育を行っています。 |
---|---|
主要子会社での技術教育 | ファナックアメリカ、ファナックヨーロッパなどの主要子会社でもサービス員の技術教育を行っています。新機種や高度な技術に関する教育は、担当者がファナックアカデミのプログラムに参加し技術を習得、帰国後に社内展開しています。 |
新人導入教育・フォローアップ教育 | 日本ではサービス員の新規採用時に4~5カ月の集中的な教育を行います。 海外で採用されたサービス員に対しても、計画的に本社で研修を行っています。 さらに、入社1年後には、各人へフォローアップ教育も実施しています。 |
冬季集中講習(日本) | 冬季にはファナックアカデミで新商品などのスキルアップ教育を集中して実施し、全サービス員がファナックのグローバルスタンダードの高品質なサービスを提供できるようにしています。 |
2022年度の教育研修の実施状況
ファナックアカデミでの研修を受講した人数 | 国内サービス員: 249名 海外サービス員: 309名 |
---|---|
主要子会社での研修を受講した人数 | 海外サービス員: 1,540名 |
ファナックアカデミでの受講時間 (受講者1人当たり年間平均) |
国内サービス員: 24.0時間 |
表彰制度
ファナックは毎年7月1日の「創立記念式典」の場にて、会社の業績に大きく寄与する功績を挙げたり、他の模範となるような顕著な活動を行ったグループや社員、業務上有益な特許等の発明をした社員等を表彰しています。
2023年は「特別功績賞」、「功績賞」、「発明表彰」、「安全優良チーム」の表彰を行いました。受賞者には表彰状と報奨金が授与され、「特別功績賞」はさらにメダルも贈呈されます。
「特別功績賞」、「功績賞」では事業本部・統括本部を横断したチームが受賞することも多く、「one FANUC」を実践しています。
「安全優良チーム表彰」は、労災撲滅に顕著な成果のあったチームが選出されました。
サービスでは、毎年開催されるグローバルサービス会議において、世界中のサービス員の中から過去1年間で優れたサービス活動を行ったサービス員に対して、トップサービスパーソンを表彰しています。2023年は12社から13の個人またはグループが表彰されました。